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SIerは腐っている?その実態と今後の展望

SIer(システムインテグレーター)は、企業のITシステムを設計・構築・運用する役割を担っています。

近年、SIerに対する批判的な意見や「腐っている」といった声が増えています。

本記事では、SIerの現状や問題点、今後の展望について詳しく解説します。

ちなみに、私自身もSIerで働いており、実際のSIerの現状をリアルのお伝えすることができます。

現在、転職や就職でSIerを考えている人は、この記事の内容が参考になるかと思います。

1. SIerとは何か?その役割と重要性

SIerは、システムインテグレーションを行う企業であり、顧客のニーズに応じたITソリューションを提供します。

具体的な役割としては、以下のようなものがあります。

1.1. 要件定義

顧客からの要望をヒアリングし、システムに必要な要件を定義します。

この段階でのコミュニケーションが、プロジェクトの成功に大きく影響します。

1.2. システム設計

要件をもとにシステムの設計を行います。

データベースの設計やインフラの構築、ソフトウェアの選定などが含まれます。

1.3. 開発・運用

設計が完了したら、システムの開発や運用を行います。

この工程では、プログラミングやテスト、システムの監視・保守が求められます。

2. SIerに対する批判的な意見

SIerに対する批判は年々増加しており、以下のような理由が挙げられます。

2.1. 硬直した組織文化

多くのSIerは大企業に属し、硬直した組織文化を持っています。

新しいアイデアや改革が進みにくく、古い体制にとらわれることが多いです。

これがイノベーションを阻害する要因となっています。

特に大手企業の仕事が大きな売上の割合を占めているところほど、大手企業の古い体制をそのまま受け継いでいることもあり、私の会社でも
「出社を基本にする」
などのように、今の時代の流れに逆行している部分が見受けられます。

2.2. 低いエンジニアの待遇

SIerに勤務するエンジニアの待遇が低いという声も多く聞かれます。

長時間労働や低賃金が常態化しているため、優秀なエンジニアが他の業界に流出してしまうことが問題視されています。

私の会社も、年収が300万円に満たない人も多く、IT業界と考えた時に決して待遇が良いとは言えないのが現状だと思います。

2.3. 顧客ニーズの理解不足

顧客のニーズを正確に理解できないままシステムを構築してしまうケースもあります。

このような失敗は、顧客との信頼関係を損ねる原因となります。

2.4. 成果物の品質問題

SIerによって納品される成果物の品質に関する問題も指摘されています。

テスト不足やドキュメントの不備が多く、運用開始後にトラブルが発生することがあります。

人月単価の低いSIerの場合には、テストやドキュメント作成にかける時間が取れないことも多く、品質に問題が起こる原因にもなっています。

3. SIerの現状と問題点

ここでは、SIerの現状や具体的な問題点について詳しく見ていきましょう。

3.1. 人材不足

IT業界全体が人材不足に悩んでいる中で、SIerも例外ではありません。

特に、経験豊富なエンジニアの確保が難しくなっており、若手の育成も急務です。

この人材不足は、プロジェクトの進行や品質に直接的な影響を与えています。

3.2. 技術の進化についていけない

IT業界は日々進化していますが、多くのSIerは新しい技術やトレンドについていけていないという現実があります。

特にクラウドコンピューティングやAI技術などの導入が遅れ、競争力を失うリスクがあります。

3.3. プロジェクトの遅延とコスト増

納期が守れない、予算オーバーが発生するなど、プロジェクトの進行において問題が発生しやすいです。

これにより、顧客の信頼を失う原因となります。

4. SIerの未来に向けた取り組み

SIerが直面している課題に対処するためには、以下のような取り組みが必要です。

逆に言えば、下記のようなことを本気で取り組んでいないSIerに就職してしまうと、将来のキャリアを潰される可能性があるということです。

4.1. 組織文化の改革

柔軟な組織文化を育むことで、イノベーションを促進することが重要です。

新しいアイデアを受け入れる風土を作り、積極的な改善活動を行うことが求められます。

4.2. エンジニアの待遇改善

エンジニアの待遇を改善し、優秀な人材を確保することが急務です。

労働環境を見直し、福利厚生を充実させることで、エンジニアの満足度を向上させる必要があります。

4.3. 技術の教育・研修

新しい技術やトレンドについての教育や研修を実施することで、エンジニアのスキルを向上させることができます。

特にクラウドやAI関連の研修を強化することが重要です。

4.4. 顧客とのコミュニケーション強化

顧客のニーズを正確に把握するためには、コミュニケーションの強化が必要です。

定期的なヒアリングやフィードバックを通じて、顧客との関係を深めることが求められます。

5. SIerを選ぶ際のポイント

SIerを選ぶ際には、以下のポイントに注意が必要です。

5.1. 実績の確認

過去のプロジェクト実績を確認することで、そのSIerの実力や信頼性を判断できます。

特に、同業種のプロジェクトを手掛けた実績があるかどうかが重要です。

5.2. エンジニアの質

エンジニアの質は、プロジェクトの成功に大きく影響します。

面談時にエンジニアのスキルや経験について確認することが重要です。

面談にエンジニアが出てこない場合には、あまり質が高いとは言えない可能性が高いです。

5.3. サポート体制の充実

プロジェクトが進行する中で、サポート体制がどれだけ充実しているかを確認することが必要です。

運用開始後のトラブルにも迅速に対応できる体制が整っているかを確認しましょう。

5.4. コミュニケーションのスムーズさ

SIerとのコミュニケーションがスムーズに行えるかどうかも重要です。

初期段階でのコミュニケーションが円滑に進むことで、プロジェクトの成功率が高まります。

5.5.プライム案件の割合

プライム案件とは、一次請けと言われる
「直接お客さんからお金をもらっているプロジェクト」
のことを指します。

このプライム案件が少ない場合には、名ばかりSIerで、SESのような事業がメインになっている可能性があります。

そして、このプライム案件の割合は、プロジェクト件数ではなく売上の割合を確認しておきましょう。

6. SIerにおけるキャリアパス

SIerでのキャリアパスにはさまざまな選択肢があります。

実際にあなたがSIerに入ったあとに、どのようなキャリアを描けるのかを見ておきましょう。

6.1. プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体を管理する役割です。

プロジェクトの進行状況を把握し、チームメンバーを指導する能力が求められます。

キャリアを積むことで、より大規模なプロジェクトを担当するチャンスが増えます。

6.2. システムアナリスト

システムアナリストは、顧客のニーズを分析し、システムに反映させる役割です。

業務知識や技術知識を活かして、顧客に最適な提案ができるようになります。

6.3. エンジニアリングマネージャー

エンジニアリングマネージャーは、エンジニアチームを指導・管理する役割です。

技術的なリーダーシップやチームのパフォーマンス向上を図るための戦略的思考が求められます。

この役割は、エンジニアとしての技術的なスキルに加えて、人材育成や組織運営に関する能力が重要です。

6.4. コンサルタント

SIerのコンサルタントは、顧客に対して戦略的なアドバイスを提供する役割です。

ITに関する深い知識と業務理解が求められ、顧客のビジネスの成長に寄与することが期待されます。

コンサルタントとして成功するためには、業界動向を把握し、顧客のニーズに応じた最適なソリューションを提案する能力が不可欠です。

6.5. 自営業やフリーランスへの道

SIerでの経験を活かして自営業やフリーランスとして独立する道も選択肢の一つです。

自分のスタイルでプロジェクトを進められるため、自由度が高い反面、営業活動や顧客管理などの業務も自分で行う必要があります。

この選択肢は、特にエンジニアとしての実績や人脈が豊富な方に向いています。

7. SIerが腐っている理由とその克服策

「SIerが腐っている」という意見の背景には、様々な要因がありますが、それを克服するためには具体的なアクションが必要です。

7.1. 硬直した文化の打破

上記で述べたように、SIerの組織文化は硬直していることが多いです。

この文化を打破するためには、社内にイノベーションを促進する仕組みを取り入れる必要があります。

フラットな組織を目指し、上司と部下が自由に意見交換できる環境を整えることが求められます。

7.2. エンジニアのスキル向上

SIerのエンジニアが常に最新の技術を学び続けることは、業界全体のレベルアップにつながります。

定期的な研修や勉強会の実施、外部セミナーへの参加を促進することで、スキル向上を図ることが重要です。

7.3. 働き方改革

長時間労働や不規則な勤務体制を見直し、働きやすい環境を整えることがエンジニアのモチベーションを向上させる要因となります。

フレックスタイム制度やリモートワークの導入など、柔軟な働き方を促進することで、エンジニアの流出を防ぐことができます。

7.4. 顧客第一主義の徹底

SIerは顧客との信頼関係を築くために、顧客のニーズを理解する努力を惜しんではなりません。

定期的なコミュニケーションやフィードバックを通じて、顧客満足度を向上させることが必要です。

顧客の声をしっかりと受け止め、システムに反映させる姿勢が求められます。

8. まとめ

SIerは企業のITシステムを支える重要な役割を担っていますが、その実態や問題点についての理解が求められています。

「腐っている」との評価を受ける背景には、組織文化や人材の問題、顧客ニーズへの理解不足などが挙げられます。

しかし、それらの課題は改善可能です。

SIerが成功を収めるためには、柔軟な組織文化の構築やエンジニアの待遇改善、技術教育の強化、顧客とのコミュニケーションの充実が不可欠です。

これにより、SIerはさらなる成長を遂げ、IT業界全体の発展に寄与することができるでしょう。

今後のSIerは、ただのシステムインテグレーターにとどまらず、顧客のビジネスパートナーとして信頼される存在になることが求められています。

この変革を実現するために、企業やエンジニア自身が積極的に取り組んでいくことが重要です。

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