仕事をすぐに辞めることを繰り返す人は、世間的に「クズ」や「逃げ癖がある」なんて評価をされがちです。
ですが、決して辞めたくて辞めるわけでは有りません。
私自身も、これまで転職を7回ほど行ってきましたが、必ずしも辞めたかったわけではないのです。
そこで、仕事をすぐに辞める人の特徴や心理、すぐ辞めないための対策を考えたいと思います。
仕事をすぐ辞める人の心理
まずは、仕事をすぐ辞める人の心理から考えていきましょう。
今の仕事がやりたいことではないと感じている
仕事をすぐに辞める人の心理として最も大きいのは「仕事のやりがい」です。
自分の価値観や目標と仕事が一致しない場合、このような感情が生まれるのは自然なことです。
これは、本人に明確な価値観や目標がないまま、「なんとなく違う気がする」という曖昧な状況の事もありますし、会社に入ってみて「なんか違う」と感じるケースもあります。
将来が見えない
私はこのパターンが多かったのですが、仕事をある程度続けると、大体の仕事の中身や会社の雰囲気が見えてきます。
そうなったときに、自分の将来に不安を抱えると、転職を考え出す傾向があります。
例えば、私が最初にいた会社はシステム会社だったのですが、世間一般で言われるところの「古い言語」でシステム開発が行われていました。
1年くらい働いていく中で、「新しい技術を取り入れていかない会社は、先行きが不安なのではないか」ということを感じ始めました。
(今から考えると、その中で身につけておくべき技術やドキュメント類の書き方は覚えておくべきだったとは思います)
他の会社でも
・この会社にいてもスキルが身につかなそう
・雑務ばかり振られている気がする
・上司のように残業だらけで働きたくない
・管理仕事が多すぎて現場仕事がなくなっていく
と言ったように、自分の将来のキャリアが不安になると転職を考えるケースが多かったです。
給料が仕事と見合っていないと感じている
仕事に対する報酬が、自分の労力や時間と釣り合わないと感じると、不満が蓄積しやすくなります。
特に、周囲と比較してしまうと、その差がさらにストレスとなることがあります。
よくあるのは、同窓会で自分の同級生の仕事内容や給料を聞いたり、SNSなどで世間一般の自分と同じ年代の人がどのくらいの給料をもらっているのかを知った時。
または、会社の同僚はサボっていて、自分は頑張っている。なのに自分の給料と同僚の給料に大差が無い。
こういった場合に、「自分の努力や能力を正当に評価されていない」と感じて転職を考えるケースがあります。
今の仕事で得られるものが無いと感じている
人は成長や自己実現を求める生き物です。
現在の仕事がスキルアップや将来のキャリアに繋がらないと感じると、無価値感に苛まれ、辞めたい気持ちが強まります。
一般に「何も考えずに転職している」と感じるタイプにも多く、その理由は
「自分の成長は望んでいるものの、明確にどういった方向にキャリアを伸ばしたいかを考えずに転職を繰り返す」
というものです。
どういったキャリアを目指して、どういったことを身に着けたいのかを考えずに転職していると、その会社で学ぶものが明確になりません。
結果、学ぶことが無いと勘違いしてしまうケースが多いです。
プライベートが少ないと感じている
仕事に追われる生活が続くと、プライベートの時間を犠牲にしているように感じます。
このバランスの欠如が、辞めたい気持ちの引き金になることも少なくありません。
私の友達も、残業が続くとプライベートが極端に犠牲になっていると感じるタイプの人がいます。
この人は、視野が狭くなるので転職を繰り返すことはなかったですが、視野がある程度広く持てるタイプの人は転職を検討してしまうのではないでしょうか。
自分に合っていないと感じている
「職場環境が合わない」「業務内容が合わない」といった違和感は、ストレスを増大させます。
このような状態では、やる気が起きず、辞める選択肢が頭をよぎることが多くなります。
例えば私の場合、過去営業職も経験しましたが、営業職は苦手で
「どのように工夫や努力をすれば、結果が出せるのか」
が全くわかりませんでした。
これまでやってきた他の仕事
・業務分析
・新人育成
・業務効率化
・システム開発
・求人募集
などであれば、どれも工夫や試してみたい施策が思い浮かんでいました。
こういった普段の仕事での自分の思考で、合う合わないがなんとなく感じられるため、転職を考えました。
違うことにチャレンジしたいと考える
向上心が強い人ほど、新しい環境や挑戦を求めて今の仕事を辞めたくなる傾向があります。
これは必ずしも悪いことではありませんが、計画性が重要です。
私もこういった転職の経験があり、違うことと言うよりは「起業」でしたが、違う職種にチャレンジしたいと考える人も多いでしょう。
仕事をすぐ辞める人の特徴
では、すぐに仕事を辞めてしまう人にはどのような特徴があるのでしょうか。
空想上の「やりたい仕事」を求める
「自分には理想的な仕事があるはずだ」という幻想を抱く人は、現実とのギャップに苦しみます。
この結果、どんな職場でも満足できない傾向が強まります。
よく転職市場で言われるのは
・仕事のやりがい
・給料
・人間関係
・勤務地
・残業時間
などのパラメータがあった時、自分の現在の職場のパラメータを5段階評価し、その数値の合計点を自分の優先順位が高い順に振り直すことを勧められます。
つまり、転職においては
「完璧な職場はなく、今と同等クラスで、自分に合った職場」
を探すのが基本です。
もちろん、今の会社が悪い場合には良くなる可能性もありますが、完璧な職場が無いと理解できていない人が多いのです。
本気で取り組んだことが無い
どの仕事も表面的な部分だけを見て、本気で取り組む前に辞めてしまう人もいます。
努力する前に諦めるクセがあると、成功体験を積む機会を失ってしまいます。
特に最近は、タイパなどの言葉が出てきているように、
「同じ時間で楽な仕事」
「楽な仕事で高い給料」
のようなバランスを考える人が増加しています。
そのため、頑張ること自体が馬鹿らしいと考える人も多いのです。
嫌なことがあったときに逃げ癖がある
困難やトラブルが起きた際に、解決を試みる前に逃げる傾向がある人は、同じパターンを繰り返してしまいます。
これが癖になると、どんな環境でも定着できなくなります。
私の会社にも、自分がミスをしたときに
・きちんと報告をしない
・謝らない
・認めない
という人がいます。
こういうことを、とがめる会社にいると、すぐに辞めて転職を繰り返すことになると思います。
仕事をすぐ辞める人の末路
さて、こういった仕事をすぐ辞める人は、その後どのような人生を歩むことになるのでしょうか。
20代はそれでも選択肢がある
若いうちは、経験不足がある程度許容されるため、転職の選択肢は残されています。
私の会社の面接でも、20代だとよほどのことがなければ書類選考は通過します。
これが、経験者でも未経験者でもです。
同じように考える企業は多く、人手不足の業界が多い現代の社会では、若いだけでも優遇される可能性が高いです。
仕事の幅が一気に狭くなる
転職回数が多くなると、「またすぐ辞めるのでは?」と企業側から不安視され、採用のハードルが高くなります。
特に30代を超えてからは、一気に書類選考に通る可能性が低くなります。
私自身も30代で転職をしていますが、書類選考の通りにくさは感じています。
この段階になると、どうしても
「今まで経験してきた業界」
が主になります。
給料が上がらない
転職を繰り返すと、その会社での経験が短い状態です。
多くの会社では、現在でもある程度の年功序列が存在し、社歴を重視する人も多いです。
結果として、年齢を重ねても若い人とあまり変わらない給料を提示される可能性も多いです。
加えて、未経験業界だったりすると新卒レベルの給与提示の可能性もあります。
そこから平均的な給与水準に上げるには、かなりの努力が必要になります。
上手くいけばスキルや人生経験が豊富になる
ポジティブな側面として、転職を繰り返す中で多様なスキルや経験を得ることができます。
例えば、私の場合はシステム系での転職が多いですが、
「業務システムとWeb系のシステム」
では、大きく違う点があります。
こういった知識や経験は、転職をしたからこそ身につきました。
また、色々な人と関わってきたからこそ、人生経験としては非常に豊かになった自覚があります。
今の会社でも、問題がある人と関わるときにも
「この人は、過去にいた〇〇さんと似ている。だったらこういう対応をしたほうが良いかな」
というように、自分の経験から対応できるようになってきます。
これは、転職を繰り返すことの1つのメリットとなります。
人によっては人生詰む
一方で、何度も転職を繰り返した結果、収入やキャリアに大きな影響を及ぼし、苦しい状況に追い込まれる人もいます。
私の友達でも、転職回数が多い人がいますが、転職を繰り返している割には「これ」と言えるようなスキルが身についていません。
こういった場合、転職すればするほど条件も下がり、30代であるにも関わらず、20代前半と同じくらいの給与水準でした。
これがさらに40代・50代となると、かなり状況が悪化すると予想されます。
最悪の場合、
「やりたくないし、やりがいのない仕事で、安い給料」
という職の選択しか無くなる可能性があります。
特に、思考が柔軟で体が動く若い間のキャリア形成は非常に重要だと感じています。
それでも体や精神を壊すよりは良い
ここまで書いてきて、「転職を繰り返すのは良くない」という視点で書いてきましたが、それでも
「自分の心と体が優先」
であることは前提条件です。
心身を壊すような長時間残業や、ひどい人間関係が続くのであれば、仕事を辞めるのがオススメです。
特に、鬱になるような場合、鬱になってからでは転職の選択肢さえなくなってしまいます。
そうなるくらいなら、転職をしたほうがマシです。
人によっては、1日8時間の週5日勤務自体が体に合わない人もいるでしょう。
そのうえで、どのように働くのかは、しっかりと考えていく必要がありますが、「逃げる」も1つの選択肢であることは覚えておきましょう。
仕事をすぐに辞めないための対処法
では、仕事をすぐに辞める人が「辞めないようにする」には、どのような方法があるのでしょうか。
しっかりと職場をリサーチする
転職前に職場環境や社風をしっかり調べることで、ミスマッチを防ぐことができます。
特に、しっかりと「こういう職場は合う。合わない」がわかっている人ほど、ミスマッチさえなければ長く続けられる可能性があります。
口コミサイトや面接時の質問を活用して情報を集めましょう。
特に面接時の質問では、よほどのブラック企業でない限り、価値観がマッチしないと感じたら落としてくれます。
面接する側も、採用したときのコストや、養っていく給料が必要なわけですから、無駄なお金を使わないためにも、合わない人を敢えて入れることはないでしょう。
面接で冷遇されることは覚悟する
転職回数が多いと、面接で厳しい質問を受ける可能性があります。
事前に誠実な回答を準備しておくことで、不安を和らげられます。
この転職の面接をしっかりと乗り越えないと
「とりあえず面接に受かった企業」
に就職することになります。
そうなった時、多くの企業が落とす中で採用したということは、ブラック企業の可能性が高いです。
なぜなら、SESなどの人売りと呼ばれるような企業の場合には、人がいればいるほど売上が上がります。
そのため、採用基準が異様に低いことが多いのです。
上司に定期的に相談する
職場で困ったことがあれば、上司や先輩に相談することで、早期に解決できる場合があります。
転職を繰り返す理由が「社内でのトラブル」や「人間関係」の場合には、こういった解決方法を取るだけで転職が不要になることもあります。
そのため、一人で抱え込まないことが大切です。
普段から、こういった解決方法を取れるようにするためには
「自己開示」
をすることに努め、誰か一人でも愚痴をこぼせるような心を開ける人を作っておくのが良いでしょう。
プライベートを捨ててでも仕事に没頭する時期を作る
私もそうでしたが、仕事は「業務時間中」だけでは
「あくまで仕事で使える知識」
しか得られないことが多々あります。
そのため、短期間だけでもプライベートを捨てて仕事に没頭してみる時期を作るのがオススメです。
私の場合は、新卒1年目のときは、土日は朝から晩まで本屋にいましたし、仕事前は始発からカフェで勉強、仕事終わりに本屋やカフェで勉強。
これがベースでした。
この時期の経験が今でも役に立っていると思いますし、スキルも身につきました。
そのため、是非一度はこういった時期を作ってみるのはいかがでしょうか。
客観的に自分の状況を観察する
自分の状況を冷静に分析し、どのような行動が必要かを考えることが重要です。
第三者の意見を取り入れるのも有効です。
特に、「今のままの仕事のスタンスを続けるとどうなるか」を冷静に分析してみるのが良いでしょう。
副業をする
副業をする事も、一見すると関係ないように見えて
「仕事を続けたり、転職を成功させる1つのポイント」
になります。
というのも、副業収入があれば、いざとなればフリーでも食べていけます。
そういう状態になってからは、私自身も会社に対して本音をぶつけられる様になりました。
なぜなら、それで辞めさせられたら、副業で食べていけば良いだけですから。
しかし、意外とそうはならない。
自分の意見が妥当なら、本音でぶつかっても、高く評価されます。
むしろ、最近の若い人ほど自分の意見を言わない人が多く、そういった人たちに将来の会社を任せるのは不安だと考える管理職は多いのです。
結果として、自分の意見を言ってからの方が、給料が上がるし、昇格もする。
私自身は、こういった好循環が生まれました。
まとめ
仕事をすぐ辞めることには心理的な理由や特徴がありますが、その先の未来を考えることが重要です。
辞める理由にもよりますが、しっかりと自分のキャリアプランを考えた上でなら、個人的に転職には賛成です。
私自身も、年収100万円以上上がるような転職も経験してきましたので、しっかりと将来を考えたうえで転職も視野に入れましょう。