ITパスポートは、日本の情報処理技術者試験の一環として位置付けられています。
この試験は、ITに関する基礎知識を測るもので、受験者は多くの情報技術の基礎を学ぶことが期待されています。
しかし、ITパスポートを取得した後、多くの人々が「これって本当に意味があるの?」と疑問を持つのが現実です。
ここでは、ITパスポートの意味や、その評価について掘り下げていきます。
ITパスポートが意味ないとされる理由
知識の実践性が低い
ITパスポート試験は、ITの基本的な知識を広範にカバーしていますが、実務で必要とされる具体的なスキルや技術が評価されることは少ないです。
たとえば、試験の内容にはコンピュータの基礎、ネットワークの概念、セキュリティ、ITにおける法律などが含まれますが、実際の業務で求められるプログラミングやデータベース管理のスキルとは異なります。
「理論的な知識はあるが、実務に活かせない」と感じる人が多いのが現状です。
業界での評価が低い
企業によっては、ITパスポートを取得していることが特に評価されない場合があります。
特に、エンジニアやシステム開発の現場では、実務経験や専門的なスキルが重視されます。
そのため、ITパスポートを持っているだけでは履歴書に記載する際の強みにならないことがあります。
「業界での認知度が低い」との声も多いです。
実際に、多くの企業が求めるのは、具体的な技術力や問題解決能力です。
試験の難易度
ITパスポートは、比較的取得が容易な試験とされています。
このため、合格者が多く、その結果、試験の価値が薄まっていると感じる人も少なくありません。
難易度が低いことは一つの利点ですが、特に専門的な資格とは言えないという意見も見受けられます。
「多くの人が簡単に合格できるため、特別な資格とは言えない」との意見もあります。
実際、ITパスポート取れるくらいのレベルって現場としてはどう?
私の会社では、新人はITパスポートを取得することが義務付けられています。
そのため、中途社員以外は全員ITパスポートを持っていますが、
「じゃあ、それなりに新人が使えるのか」
というと、そんなことはありません。
未経験中途の一部の人にも、ITパスポートを取らせているのですが、どうしても
「ITパスポートで出てくる用語を単に暗記している人」
は、業務でもその知識を活かせられない傾向にあるように思います。
例えば、私が実際に体験したケースでは、HTMLを新人が書いており、画像がパス不明で表示されない状態になっていました。
そのため、絶対パス・相対パスのどっちで書いたかを聞いた所、ポカンとしていました。
その後、書き方には2種類あることを教えると
「そういえば、ITパスポートでやった気がします」
と言っていました。
つまり、そういうものが存在することは学んだが、それがどのように使われているのかなどは理解していないのです。
これが、資格の勉強が実務に結びついていない良い例だとは思いますが、
「勉強する=単語を覚える」
ではなく、意味を理解していく必要があります。
そのため、個人差はあるもののITパスポートを取ったからと言って、現場で役に立つかは
「深く理解しようとしたか」
に依存してしまうと言えそうです。
意味はないけど「ITパスポートでさえ取れない」は低評価
私は現在、SIerで採用活動も行っていますが、ITパスポートを転職活動前に取っている人は少ないです。
そのため、少なからず転職で有利になる可能性はあると考えています。
何より
「ITパスポートレベルを取れるだけの知能があるか」
は、確実に見られていると思ってよいでしょう。
もちろん、できることなら基本情報や応用情報を持っている方が良い。
でも、転職活動を短期間で終わらせるためなら、ITパスポートだけでも取っておくのが良いです。
そして、面接ではITパスポートは「簡単に取れた」と言えるくらいに理解しておくことが重要です。
ITパスポートは比較的簡単に取れるからこそ、無意味とも言われる資格ですが、その資格を取るのに
「毎日3時間必死に勉強しました」
と言われると、その先の伸びしろが心配になります。
ITパスポートを活かすためには
ITパスポートが意味がないと感じることがある一方で、取得を有意義に活用する方法も存在します。
以下のアプローチを検討することで、ITパスポートを有意義なものにすることができます。
実務経験と組み合わせる
ITパスポートを持っているだけでは意味がありません。
実務経験と組み合わせることで、知識を生かすことができます。プロジェクトに参加したり、IT関連のインターンシップを経験したりすることで、理論を実践に変えることができます。
このように実務での経験を積むことで、資格の価値を実感できるようになるでしょう。
継続的な学習
ITパスポートを取得した後も、最新の技術やトレンドを学び続ける姿勢が重要です。
IT業界は日々進化しており、新しい技術や手法が次々と登場します。
セミナーや勉強会に参加し、新しい知識を積極的に吸収することで、スキルを向上させることができます。
また、オンラインコースや専門書を活用することも効果的です。
資格を足掛かりにする
ITパスポートを取得したことを足掛かりに、さらに専門的な資格を目指すのも良い戦略です。
例えば、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験など、より実践的な内容の資格に挑戦することで、キャリアの幅を広げることができます。
これにより、自分の市場価値を高め、より良い職を得る可能性が高まります。
資格取得以外に未経験から転職に役立つ手段は?
では、ITパスポートが転職に有利にならないと仮定すると、どのような行動を取れば転職ができるのでしょうか。
実務経験を得る
最も重要なのは、実務経験を得ることです。
転職には実務経験が必要。
でも、未経験では就職が難しい。
このジレンマを乗り越える必要があります。
インターンシップやアルバイト
IT業界でのインターンシップやアルバイトを通じて、実務経験を積むことが可能です。
実際の業務を体験することで、業界の理解が深まり、スキルを身につけることができます。
アルバイトの場合は、簡単な業務がメインになるため、働く上でのハードルは低いです。
収入という意味合いでは厳しいですが、それでも実務経験が積める数少ない機会ですので、有効に活用しましょう。
フリーランスや副業
プロジェクトベースでの仕事を行うことで、実際の業務に携わることができ、履歴書にも実績を記載できます。
フリーランスの仕事は、柔軟なスケジュールで行えるため、未経験者にとって始めやすい選択肢です。
最近では、ランサーズやクラウドワークスのようなクラウドソーシングサイトもありますし、個人で仕事を取るのも不可能ではありません。
ただ、右も左もわからない状態でフリーランスとして働くのは、難しい場合もあるでしょう。
そのため、普通の人はアルバイトの方が良いかもしれません。
自分で趣味でサイトの構築などをしたことがある人にとっては、こっちの選択肢のほうが早い可能性もあります。
ポートフォリオの作成
2つ目の方法は、ポートフォリオの作成です。
プロジェクトの実施
自分で小さなプロジェクトを立ち上げたり、オープンソースプロジェクトに参加したりして、成果物をポートフォリオとしてまとめることで、実力をアピールできます。
個人的に重要だと考えているのは、
・フルスクラッチ
・フレームワーク開発
の両方を経験しておくことです。
フルスクラッチでの経験は、開発としてやっていく上での基本的な部分です。
入社前からこの経験をしておいてくれると、採用する会社としても安心な部分ではあります。
オンラインプラットフォームの利用
GitHubやBehanceなどのプラットフォームに自分の作品を掲載し、見込み客や雇用者に対して自分のスキルを示すことができます。
特にプログラミングやデザインのスキルを証明するのに効果的です。
人脈を広げる
最近は、多くのIT企業で人手不足と言われています。
そのため、縁故採用が注目されるようになってきました。
そのことからも、「人脈を広げる」ということは、就職に繋がる可能性があります。
実際、私の会社でも全く仕事ができない人が、縁故採用されています。
「この人、普通転職決まらないよな」
という性格・仕事の能力ですが、それでも紹介だからこそ就職できた。
そんな事もあるのです。
人脈を広げる方法としては、定期的にプログラミングに関する講習を受けたり、もくもく会と言われるような作業会に参加することです。
自分自身のスキルアップと人脈づくりを並行して行えるので、非常に良いと思います。
また、その行動自体が面接する側としては
「ちゃんとプライベートの時間で勉強できる向上心のある人」
と見られる可能性が高いです。
まとめ
ITパスポートは、基礎的なIT知識を測る試験ですが、その評価や実用性に疑問を持つ声もあります。
「意味がない」とされる理由を理解しつつ、実務経験や継続的な学習を通じて、資格を有意義なものにする工夫が必要です。
最終的には、自分自身の努力と経験がキャリアの成功につながることを忘れずに取り組んでいきましょう。