運用保守は、IT業界において重要な役割を果たす職種ですが、その地位は必ずしも高く評価されているわけではありません。
多くの人が「運用保守は底辺」と考える背景には、さまざまな要因があります。
本記事では、運用保守の仕事内容や業界の現状、転職の可能性について詳しく解説します。
私の会社でも運用保守の仕事が会社の売上として大きく、現場のリアルをお届けできるかと思います。
運用保守とは何か?
運用保守は、システムやアプリケーションの稼働を維持し、問題が発生した際には迅速に対応する役割を担います。
主な業務内容は以下の通りです。
システム監視
運用保守の基本的な業務の一つは、システムの監視です。
これには、サーバーやネットワークの稼働状況を常にチェックし、異常があれば迅速に対処することが含まれます。
システムの稼働率を高めるために、運用保守は不可欠な業務です。
システム監視は24時間体制で行われることが一般的であり、シフト勤務が求められる場合もあります。
特に、ミッションクリティカルなシステムでは、監視の精度が高く求められます。
例えば、ネットショップが1時間動かないだけでも、かなりの機会損失が生まれる可能性があります。
このため、運用保守担当者は、問題発生時に即座に反応できるよう、状況を常に把握しておく必要があります。
私の会社ではJP1という日立製の製品を使っており、このJP1は色々な処理を夜間に実行していたりします。
そして、途中でエラーが起きたときには、
・原因を調べる
・リカバリーして再実行する
・後ろの処理を始める
というような作業をします。
こういった単純な一方で
「そこに人員を割けない」
という企業が運用保守を他社に依頼するようなビジネスも近年増えてきています。
トラブルシューティング
システムに問題が発生した場合、運用保守担当者はその原因を特定し、解決に向けて行動します。
これには、ログの分析や関連システムのチェックが含まれます。
問題を解決する能力が求められるため、専門的な知識が必要です。
トラブルシューティングは、時には非常にストレスの多い作業です。
特に、システムがダウンした際には、迅速に復旧作業を行わなければならず、そのプレッシャーは計り知れません。
過去のトラブルシューティング経験を基に、適切な対応策を考えることが求められます。
定期的なメンテナンス
システムの安定稼働を維持するために、定期的なメンテナンスも重要です。
これには、ソフトウェアのアップデートやバックアップ作業が含まれます。
運用保守担当者は、システムの安全性を確保するために継続的な作業が求められます。
また、メンテナンス業務には計画性が求められます。
事前にスケジュールを立てて、システムの稼働に影響を与えない時間帯に作業を行う必要があります。
例えば、サーバーは動かし続けると不具合を起こすことが有り、定期的に再起動をすることがあります。
一方で、ユーザーが多く利用している時間帯に再起動してしまうと、利用者からの問い合わせやクレームに繋がり、他の業務にも影響を与えることがあります。
そのため、ユーザーへの影響を最小限に抑えるために、深夜に作業をするなどの工夫をしますが、このときに運用保守のメンバーが活躍します。
運用保守が「底辺」とされる理由
運用保守が「底辺」とされる理由はいくつかあります。
低い評価
運用保守の業務は、一般的には「裏方」としての位置づけが強く、表舞台に出ることは少ないため、評価が低くなりがちです。
また、業務内容が単調であることから、他の職種に比べて魅力を感じない人も多いです。
このため、運用保守の仕事は社会的にあまり注目されず、重要性が過小評価されることがあります。
特に、新しい技術やプロジェクトの開発に関与しないため、業務の幅が限られている印象を持たれることが多いです。
給与の低さ
運用保守は、特に新入社員や経験の浅いエンジニアの場合、給与が低く設定されていることが多いです。
このため、給与面で不満を持つ人が多く、結果として「底辺」と見なされることが多いのです。
業界全体として運用保守の給与水準が低いことも影響しており、他の職種と比較すると相対的に劣っていると感じる人が多いです。
また、業務の複雑さに対して報酬が見合わないと感じることが、職業選択に影響を与える要因となります。
キャリアパスの限界
運用保守は、一般的にはキャリアパスが限られています。
専門性を高めることはできるものの、上位職への昇進が難しいと感じる人が多いです。
これにより、自身の成長を実感できないことが「底辺」という評価につながります。
運用保守の仕事は、特に専門性を深めることに特化しているため、マネジメント職やプロジェクトリーダーへの転身が難しいとされています。
このため、同じ職場で長く働くことが苦痛に感じる人が多いのです。
スキルがつかない
スキルがつかないのも、運用保守の仕事で多い問題です。
業務用アプリケーションの運用保守でも、実際に問題が起きたときに
「システムの修正自体はベンダーに依頼する」
というケースは少なく有りません。
そうなると、エラー内容と現状の状況をベンダーに報告することが仕事になる事もあり
「IT企業に10年いたのに、プログラムを読めない」
というような人員が育つ可能性があります。
運用保守からの転職の可能性
運用保守から転職を考える人も少なくありませんが、実際にどのような道があるのでしょうか。
転職先の選択肢
運用保守の経験を活かして、以下のような職種への転職が可能です。
– **開発エンジニア**: システムの運用保守を経験しているため、開発プロセスを理解している点が強みです。特に、運用で得た知識を開発に活かすことができるため、転職市場でのアピールポイントとなります。
– **ITコンサルタント**: 運用保守の経験を通じて、クライアントのニーズを理解し、システム改善に向けた提案ができるでしょう。クライアントとのコミュニケーション能力が求められるため、運用保守での経験が役立ちます。
– **プロジェクトマネージャー**: 運用保守で得た経験を活かし、プロジェクト全体を管理する役割を目指すこともできます。リーダーシップや調整能力が求められるため、運用保守での経験が生きる場面が多いです。
業務を学ぶことも重要
運用保守の案件に現在配属されている事自体は、変えることは難しいでしょう。
しかし、その中で「何を学ぶか」が非常に重要になってきます。
特に、業務を学び
・どうすれば安定して動くことができるのか
・どのような部分を意識してマニュアル化するか
・リスク管理をどうやって行くか
・チームマネジメントをどうするか
という部分をしっかりと学ぶことで、転職に有利な知見を得ることもできるでしょう。
スキルアップの重要性
転職を考える際には、スキルアップが重要です。
運用保守の経験を活かしつつ、新しい技術や知識を身につけることで、転職市場での競争力を高めることができます。
特に、クラウド技術やセキュリティ関連の知識は、今後のキャリアにおいて大きなアドバンテージとなります。
運用保守の仕事を続けながら、自己学習を行い、資格取得を目指すことで、転職に向けた準備を進めることができます。
また、セミナーや勉強会に参加することで、業界の最新情報をキャッチアップし、ネットワークを広げることも重要です。
ネットワークを活用する
運用保守の現場での人脈を活用して、転職活動を行うことも有効です。
元同僚や上司、業界の知人に相談し、良い転職先を紹介してもらうことで、成功の可能性が高まります。
特に、社内外のネットワークを活用することで、より良い情報を得ることができます。
人脈を広げるためには、業界イベントや勉強会に積極的に参加し、自分自身をアピールすることが重要です。
また、SNSを利用して自分の専門分野について発信することで、興味を持つ人とつながることができます。
運用保守の未来
運用保守の職種は、今後も重要性を増すと考えられています。
ITシステムの増加とともに、運用保守の需要も高まるでしょう。
しかし、業界の変化に対応するためには、自身のスキルを常にアップデートし続ける必要があります。
特に、AIや自動化技術の発展により、運用保守の業務内容も変わってくる可能性があります。
これにより、単純作業から専門的な知識を活かした仕事へと変化していくでしょう。そのため、柔軟性を持って新しい技術を学ぶ姿勢が求められます。
新たなスキルの習得
運用保守の現場でも、AIや機械学習を活用した業務が進んでいます。
これにより、業務の効率化が図られ、運用保守担当者に求められるスキルも変わってくるでしょう。
新たなスキルを習得することで、将来的にも活躍できる職種に成長する可能性があります。
運用保守から新サービスを作る
運用保守は、良い面としては「一番ユーザーに近い部分でシステムを見る」ことができる点です。
例えば、「〇〇という問い合わせが多い」という状況があれば、その問題を解決する製品を自社で作ることができれば、それがそのまま会社の売上につながります。
こういった現場から生まれる製品を作りやすい環境が、運用保守にはあります。
まとめ
運用保守は、重要な役割を担う職種でありながら、低く評価されることが多いのが現状です。
しかし、自身のスキルを磨き、転職先を選ぶことで、新たなキャリアを築くことが可能です。
「底辺」とされる運用保守の現状を打破し、自分の理想の職場を見つけるために、積極的に行動することが重要です。
運用保守で培った経験を活かし、自分のキャリアを向上させるために、挑戦し続けることが大切です。自分の可能性を信じて、次のステップへと進んでいきましょう。