IT業界で働く中で、転職を考える理由はさまざまです。
過剰な残業や最新技術への対応、将来の安定性など、IT業界特有の悩みから
「他業界でのキャリアを築きたい」
と思う方も増えています。
本記事では、転職を考える際のポイントや、IT業界を離れる際の注意点について解説します。
IT業界からの転職を考える理由
IT業界から別の業界に転職を考える理由には、いくつかの共通点が見られます。
まずは、なぜ転職を考えるのかを明確にしておくことが重要です。
過剰な残業と仕事環境の厳しさ
IT業界はプロジェクトベースでの仕事が多いため、納期に追われて過剰な残業が発生しがちです。
特に大規模プロジェクトや短納期案件では、休日も含めての稼働が続くことが多く、ワークライフバランスが取りにくくなります。
IT業界では、こういった状況は珍しくないです。
私の会社では、残業こそ少ないですが夜勤もあり、人によっては体にかなり負担がかかっているようです。
また、求人情報を見渡してみても、
「固定残業代20時間分を含む」
「平均残業時間30時間/月」
のような文言が良く見られます。
平均で30時間/月なら、多い人だとかなりの時間になる!
こういった業界だからこそ、その労働環境の影響で辞めたいと感じる人も多いでしょう。
常に新しい技術を学び続けるプレッシャー
IT業界では、技術が急速に進化しており、「最新技術に追いつかなければ」というプレッシャーを感じる人も多いです。
学習時間を確保するのが難しく、転職を考える理由の一つとなっています。
特に最近は、言語がどんどん変わっていくことに加え
・新しいクラウドサービス
・新しいフレームワーク
もたくさん存在し、更にRPAなどのノーコード開発・ローコード開発まで目を向ければ、学び続けられる自信がない人も多いでしょう。
また、昨今ライフワークバランスが叫ばれる一方で、多くの会社は「業務時間以外で自己学習するのが当たり前」という雰囲気を出してくる。
この状況で、IT業界をやめようと考えた人も多いのではないでしょうか。
将来のキャリアや安定性に対する不安
IT業界はプロジェクト単位での契約や外部委託が多いため、長期的な安定性に不安を感じやすいです。
また、AIなどの新技術の登場で、将来のキャリアに対する不安を抱える人も増えています。
特にSESなどの会社で働いていると
「この仕事、将来性あるのかな」
というような案件も多く、ヘルプデスク業務などのスキルのつかないプロジェクトに回される事も多々あります。
IT業界からの転職で注意したいポイント
転職を成功させるためには、現在のスキルや経験をどのように他業界で活用するかが鍵となります。
以下のポイントを押さえて、計画的に転職活動を進めましょう。
スキルと経験の棚卸しを行う
IT業界で得たスキルや経験は、他業界でも強みになります。
自分のスキルを整理し、それが他の業界や職種でどう活かせるかを考えましょう。
データ分析やプロジェクト管理能力などは、幅広い職種で評価されるポイントです。
他業界の職場環境や待遇を事前に調査する
IT業界と異なる働き方や待遇に期待して転職する場合、事前に他業界の環境や待遇をしっかりと調査することが大切です。
期待とのギャップが転職後の満足度に影響するため、慎重に確認しましょう。
ITスキルを手放さずに活用する方法を探す
ITスキルは多くの業界で役立つため、完全に手放す必要はありません。
ITスキルを活かせる新たなキャリアを検討することで、転職の幅が広がります。
デジタルマーケティングや教育業界など、ITスキルが求められる分野は数多く存在します。
IT業界から足を洗いたいと考えるなら社内SEも検討してみよう
IT業界での激務や技術の変化についていくことに疲れ、業界を離れたいと考えている方も多いでしょう。
しかし、ITのスキルや経験を活かしつつ、働きやすい環境を求めているのであれば、「社内SE」という選択肢も検討する価値があります。
社内SEは、IT業界に属しながらも、比較的安定した働き方ができる職種です。
以下では、社内SEのメリットや特徴について詳しく解説します。
社内SEとは?
社内SE(システムエンジニア)は、企業内でITシステムの管理やサポートを行う職種です。
外部の顧客を相手にするのではなく、社内のスタッフを対象にIT支援を行います。
そのため、プロジェクトの納期に追われることが少なく、比較的落ち着いた環境で業務に従事することができます。
何よりも社内SEは、「非IT企業の情報システム部門」であることが多く、そうなると会社の雰囲気自体がIT企業とは全く違うため、向いている人も多いと考えられます。
社内SEのメリット
社内SEには、他のIT職種にはない以下のようなメリットがあります。
- ワークライフバランスが取りやすい:多くの社内SEは、繁忙期を除いて定時での退社が可能です。また、プロジェクトベースの仕事が少ないため、突発的な残業が発生しにくい環境にあります。
- 最新技術に追われない:企業の基幹システムやインフラの安定運用が主な業務のため、最新技術に追い続けるプレッシャーが少なく、必要に応じた技術更新が行われます。
- 長期的な安定が見込める:社内の業務を支える役割であるため、企業が存続する限り一定の需要がある職種です。
IT業界の経験を社内SEで活かす方法
IT業界で培ったスキルは、社内SEとしても十分に活かせます。特に、以下のスキルは社内SEとして転職する際に強みとなります。
- ネットワークとサーバーの知識:社内のネットワーク管理やサーバー保守は社内SEの主要業務の一部です。
- ユーザーサポートスキル:他の社員からのIT関連の問い合わせに対応することも社内SEの重要な役割です。
- セキュリティ対策:近年は情報セキュリティの重要性が増しているため、セキュリティ知識も重宝されます。
社内SEの求人の見つけ方と応募のポイント
社内SEは、他のIT職種と比べて求人が少ないこともありますが、確実に増加しています。
転職サイトや企業の採用ページで「社内SE」「情報システム担当」といったキーワードで検索すると良いでしょう。
応募の際には、社内業務の効率化やサポート実績をアピールすると、企業にとっての即戦力として評価されやすくなります。
IT業界から転職する際に役立つスキル
IT業界の経験は、他の職種でも活用できる強みとなります。
ここでは、他業界でも評価されやすいスキルについて説明します。
問題解決能力
IT業界で培った問題解決能力は、他業界でも重宝されるスキルです。
特に複雑な課題に対するアプローチや論理的な思考は、どの分野でも重要なスキルとされます。
IT業界では当たり前に
「問題があるときに、システムを作るか、運用でカバーするか、自動化するか」
というような解決方法を取ったりしますが、これを思考すること自体が、他の業界に無い武器になる可能性があります。
プロジェクト管理能力
プロジェクトの進行を管理し、チームで成果を上げる力は、IT業界だけでなく他業界でも高く評価されます。
プロジェクト管理スキルは、様々な業界で通用するスキルです。
特に、複数の企業とのやり取りが発生する場合や、派遣社員/ビジネスパートナーなどの「人・もの・金」を管理するスキルは、別の業界でも十分に役立ちます。
データ分析やマーケティングの知識
データを用いた分析能力や、マーケティングに関する知見は、IT以外の分野でも役立ちます。
特にマーケティングや経営分野では、データ分析スキルが重宝されます。
他にも、近年はマーケティングオートメーションと言われる、集客の自動化も注目されていますから、システムの知識と合わせればかなりの武器になると考えられます。
IT業界からの転職でおすすめのキャリア
IT業界での経験を活かしつつ、新しい分野でのキャリアを築く方法もあります。
ここでは、IT経験者にとっておすすめのキャリアを紹介します。
コンサルティング業界
IT知識を持つコンサルタントとして、企業のデジタル戦略を支援することができます。
特にデジタル領域での課題解決を得意とする人にとって、コンサルティング業界はやりがいを感じやすい分野です。
更に、給料面ではITコンサルタントなどは非常に高い会社が多く、且つエンジニアと違って緊急での対応が必要ないなどの働き方としてのメリットも大きいです。
教育・研修業界
ITスキルを教育する立場として、次世代の人材を育てることができます。
教育業界は、技術力を活かして他人の成長をサポートしたい人に適しています。
最近では、オンラインのWEBデザイナーのためのスクールもあったりしますが、こういったところの先生の場合、カリキュラムがあるのでそれほど高いスキルを要求されず、余裕を持って働ける可能性が高いです。
デジタルマーケティング分野
マーケティングにITスキルを応用することで、データに基づくマーケティング戦略を支える役割が担えます。
デジタルマーケティングは、ITの知見を応用できる領域です。
例えば、サイトから集客を考える際、WEB開発の経験を活かすことができます。
他社にアプリなどを依頼する際も、開発経験があれば他社の見積もりが妥当なものかを考えることができます。
このように、ITは色々な部分につながってくるので、マーケティング分野への転職も期待できます。
まとめ
IT業界から転職を考える際には、自分のスキルや経験をどのように活かせるかをしっかりと考え、新たなキャリアへの移行を計画的に進めましょう。
IT業界での経験を武器に、新たな職場でも自分の強みを活かしていくことが、成功する転職への第一歩です。