近年、IT業界における未経験エンジニアの数が急増しています。
企業のデジタルトランスフォーメーションが進む中で、エンジニア不足が深刻な問題となっており、未経験者を受け入れる企業が増えています。
しかし、この現象にはいくつかの背景や課題も存在します。
本記事では、未経験エンジニアの増加の背景、現状の課題、そして今後の展望について詳しく解説します。
個人的にも、「未経験エンジニアが増え過ぎじゃない？」と感じることは多く、今後目指す人にはぜひ知っておいてほしい情報です。
1. 未経験エンジニア増加の背景
まず、未経験エンジニアが急増している背景を見ていきましょう。
1.1. IT業界の成長と人手不足
デジタル化が進む現代において、IT業界は急成長を遂げています。
多くの企業がテクノロジーを活用し、ビジネスの効率化や新たなサービスの提供に取り組んでいます。
これにより、エンジニアの需要が急増し、企業は人手不足に悩んでいます。
特に、プログラミングやデータ分析、AI技術に関するスキルを持つ人材が求められており、経験者の確保が難しくなっています。
これに対処するため、企業は未経験者を受け入れる傾向が強まっています。
1.2. 学習環境の整備
また、未経験者がエンジニアとしてのスキルを身につけるための学習環境も整っています。
オンライン学習プラットフォームやコーディングブートキャンプが普及し、誰でも気軽にプログラミングを学ぶことができるようになりました。
これにより、短期間でスキルを習得し、就職する未経験エンジニアが増加しています。
加えて、有料のオンラインスクールも、YouTubeを始め多くの所で広告を出しており、
「スクールを卒業すれば就職できる」
と考えて実務経験のないエンジニアが増えているという背景があります。
1.3. 転職市場の変化
さらに、転職市場の変化も影響しています。
従来は経験者が優遇される傾向が強かったですが、最近では未経験者を積極的に採用する企業が増えてきています。
特にスタートアップや中小企業では、スキルよりもポテンシャルを重視する傾向が見られます。
これにより、多くの未経験者がエンジニアとしてのキャリアをスタートするチャンスが広がっています。
1.4.優秀な人を集められない
これはウチの会社を始め、弱小の中小企業に多い現状ですが、
「利益率の低いIT企業」
は、従業員の収入を増やすことが難しいです。
結果、求人に記載する給料も低く、経験者からすると魅力のない求人になります。
結果、
「優秀な人材を招き入れる」
ことが難しいと判断した採用現場は
「未経験を育てる」
という方向性に舵を取らざるを得ない状況にあるのだと思います。
（ただし、ちゃんと育てているかと言われると、そんなことはないのですが笑）
1.5.リモートの需要が高まった
感染症の影響も有り、世間的に
「外に出ること、対面で仕事をすることにはリスクが有る」
と強く感じるようになったのでしょう。
そのタイミングで、多くの企業でリモートワークが推奨され、未経験エンジニアたちは短絡的に
「IT業界に行けば、リモートで通勤もない楽な職場環境が手に入る」
と考えるようになったと思います。
しかし、実態は
「職場になれるまで、ある程度仕事ができるようになるまでは出社させる」
というような職場も少なくないでしょう。
現状はどうあれ、そういう環境面での理想を感じてエンジニアになった人も多いでしょう。
2. 未経験エンジニアの現状
未経験エンジニアの急増には、さまざまな現状や課題も存在します。
2.1. 競争の激化
未経験エンジニアが増える一方で、競争も激化しています。
企業はより多くの応募者を受け入れるようになりましたが、その分、選考も厳しくなっています。
企業が求めるスキルセットを持たない未経験者は、選考から落ちることが多くなっています。
2.2. スキルの差
また、未経験エンジニアの中には、独学で学んだだけの人も多く、実務経験がないため、スキルの差が大きいという現状もあります。
実際の業務においては、理論だけではなく、実践的なスキルや経験が求められるため、入社後のギャップが生じることがあります。
2.3. 労働環境の問題
未経験者を受け入れる企業が増えた一方で、労働環境に関する問題も指摘されています。
未経験者は経験豊富なエンジニアのサポートを受けながら成長することが求められますが、十分な教育や指導が行われない場合、早期に離職してしまうケースもあります。
特に、サポート体制が整っていない企業では、未経験者が孤立感を感じることが多く、モチベーションを維持するのが難しくなります。
3. 未経験エンジニアとして成功するためのポイント
未経験エンジニアとして成功するためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
3.1. 学習の継続
未経験からエンジニアになるためには、継続的な学習が不可欠です。
入社後も新しい技術やトレンドについて学び続けることで、自分のスキルを向上させることができます。
定期的に勉強会やオンラインコースに参加し、最新の情報をキャッチアップしましょう。
3.2. 実践的な経験を積む
理論だけでなく、実践的な経験を積むことも重要です。
プロジェクトやチームでの活動を通じて、実際の業務に触れることで、スキルを高めることができます。
オープンソースプロジェクトへの参加や、自分自身でのプロジェクト立ち上げも良い方法です。
3.3. フィードバックを求める
自分の成長のためには、他者からのフィードバックが重要です。
先輩や同僚からのアドバイスを受け入れることで、自分の弱点や改善点を見つけることができます。
また、定期的に自分の成果を振り返り、改善を続ける姿勢が成功への鍵です。
3.4. コミュニケーション能力の向上
エンジニアは技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション能力も求められます。
チーム内での円滑なコミュニケーションは、プロジェクトの成功に欠かせません。
会議やディスカッションの場で意見を述べたり、フィードバックを受け入れたりすることで、コミュニケーション能力を向上させましょう。
4. 未経験エンジニアが抱える課題
未経験エンジニアは、スキルを学ぶだけでなく、さまざまな課題にも直面します。
以下にいくつかの主要な課題を挙げてみましょう。
4.1. 求人情報の信頼性
未経験者向けの求人情報は数多くありますが、その中には「未経験者歓迎」と謳いながらも、実際には高度なスキルを求める企業も存在します。
こうした求人に応募してしまうと、実際の業務についていけず、早期の離職につながる可能性があります。
4.2. スキルの陳腐化
技術の進化が速いIT業界では、学んだスキルがすぐに陳腐化してしまうこともあります。
未経験から入ったエンジニアが、入社時に習得したスキルに依存してしまうと、後々のキャリアに悪影響を及ぼすことがあります。
常に新しい技術を学び続ける姿勢が必要です。
4.3. 孤立感
特にリモートワークが普及した現在、未経験エンジニアは職場での孤立感を感じることが多いです。
チームとのコミュニケーションが不足すると、学びの機会を逃すだけでなく、メンタル的にも疲弊してしまいます。
孤立感を和らげるために、オンラインのコミュニティに参加することや、定期的なフィードバックを求めることが重要です。
5. 企業が未経験エンジニアを受け入れる理由
企業が未経験エンジニアを採用する理由にはいくつかの要素があります。
5.1. コストの削減
未経験エンジニアを採用することで、企業はコストを削減することができます。
経験豊富なエンジニアに比べて、未経験者は給与が低く抑えられることが多く、採用コストを抑えることが可能です。
特に中小企業やスタートアップにとっては、財務的な負担を軽減できる点が魅力です。
5.2. ポテンシャルの重視
未経験者は経験がない分、柔軟な思考を持つことが多いです。
企業はポテンシャルを重視し、新しいアイデアや視点を持ち込むことを期待しています。
特に急成長中の企業では、柔軟性や適応力を求める傾向が強まっています。
5.3. 社内育成の機会
企業が未経験者を受け入れることで、社内育成の機会を創出できます。
新しい社員を社内の文化に染め、企業独自の技術やプロセスを教えることができるため、長期的な人材育成につながります。
これにより、企業は特定のスキルを持った社員を育て上げることができ、業務の効率化を図ることができます。
5.4.他業種での経験を活かせる
IT企業と言っても、他業種の経験が全く役に立たないかと言うと、そんなことは有りません。
メーカーの工場勤務をしていた人が、工場で使う在庫管理システムを作れば、現場の問題を細かくすくい上げたシステム設計が可能です。
それ以外も、業界の常識や環境・用語などの経験は前職が違う業界でも役に立つ可能性は高いです。
6. 未経験エンジニアの成功事例
未経験エンジニアが成功した事例も多く存在します。
以下にいくつかの実例を紹介します。
6.1. 自主学習からのキャリアアップ
ある未経験者は、独学でプログラミングを学び、ポートフォリオを作成しました。
その後、彼は小規模な開発プロジェクトに参加し、実務経験を積むことができました。
最終的に、彼は大手企業に就職し、今ではプロジェクトマネージャーとして活躍しています。
このような自主的な学びの姿勢が、彼の成功を後押ししました。
6.2. コーディングブートキャンプの利用
別の未経験者は、コーディングブートキャンプを利用して、短期間でスキルを習得しました。
集中したカリキュラムのおかげで、彼は就職後すぐにプロジェクトに参加できるレベルにまで成長しました。
ブートキャンプでは、同じ志を持つ仲間と共に学ぶことで、モチベーションを高め合いながら進められたのが成功の鍵でした。
6.3. オープンソースプロジェクトへの参加
他の未経験エンジニアは、オープンソースプロジェクトに参加することで貴重な経験を得ました。
実際のプロジェクトに貢献することで、スキルを磨くとともに、ネットワークを広げることができました。
これがきっかけで、彼は後にエンジニアとしての職を得ることができました。
7. 未経験エンジニアが成功するための具体的なステップ
未経験エンジニアとして成功するためには、以下の具体的なステップを踏むことが重要です。
7.1. 自分に合った学習スタイルを見つける
まず、自分に合った学習スタイルを見つけることが重要です。
独学が向いている人もいれば、他の人と一緒に学ぶことで学びやすくなる人もいます。
自分の特性を理解し、最も効果的な学習方法を見つけましょう。
7.2. ポートフォリオを作成する
就職活動をする際には、自分のスキルを証明するためのポートフォリオが必要です。
自分の作成したプロジェクトや作品をまとめることで、企業に自分の能力をアピールできます。
ポートフォリオには、実際に手がけたプロジェクトや、習得した技術を示す成果物を含めると良いでしょう。
7.3. ネットワークを広げる
業界内でのネットワークを広げることも重要です。
勉強会やコミュニティに参加し、他のエンジニアとの交流を深めることで、有益な情報を得たり、仕事のチャンスを広げたりできます。
SNSを活用することも有効です。
私の会社でも、私の紹介で2人ほど入社しましたし、縁故採用は採用コストが上がる現在、重宝されている方法でもあるため、ネットワークが重要になります。
7.4. インターンシップを利用する
インターンシップは、実務経験を積む貴重な機会です。
企業が未経験者を受け入れるプログラムも多く存在します。
インターンシップを通じて、実際の業務を経験し、職場の雰囲気を理解することができます。
8. まとめ
未経験エンジニアの急増は、IT業界における重要なトピックです。
企業のデジタルトランスフォーメーションの進展や学習環境の整備により、多くの人々がエンジニアとしてのキャリアを選択するようになっています。
しかし、未経験エンジニアはさまざまな課題にも直面しており、成功するためには継続的な学習やネットワーク、実務経験の積み重ねが不可欠です。
今後もIT業界の変化は続くため、未経験エンジニアは自身のスキルを磨き続け、新しい技術やトレンドに適応していくことが求められます。
未経験エンジニアが増えすぎる中で、個々の努力がさらなる成功を生む鍵となるでしょう。
